PEライン用ノットの強度比較

強度比較イメージ1 強度比較イメージ2 強度比較イメージ3

PEラインの普及に伴い、色々なノットが生まれましたが、どのノットが強いのでしょうか?

この疑問にお答えすべく、ノットの強度テストをしてみましたが、何と、強度が100%のPRノットから、50%前後のユニ・ノットまで、強度に2倍以上の差がでることが判明しました。

いつも強度100%ノットを使えれば最高なのですが、例えばアジングなどの小物釣りで、秒を競ってキャストしたい時など、3分かかる摩擦系ノットでなく、30秒で結べるオルブライト・ノットで十分な場合も多々あります。

個々のノットの強度と特長が判った上で、最適なノットを対象魚・釣り方・状況に応じて使い分ければ、釣りがより楽しくなると思います。

テスト結果の一覧表は下記の通りですが、詳細は個々のレポートをご覧ください。

ノットの種類 結束(結節)強度 増し締めの必要性
PRノット 80%前後~100% 不要
MIDノット 80%前後 必要
FGノット 80%前後 必要
LTノット 70%前後 不要
ビミニ・ツイスト 70%前後 不要
SFノット 70%前後 不要
ノーネーム・ノット 70%前後 不要
オルブライト・ノット 60%前後 不要
ユニ・ノット(ダブル) 60%前後 不要
ユニ・ノット(シングル) 50%前後 不要

  • 直線強力 と 結束(結節)強力:

    どんなに強いライン(直線強力)でも、ラインを曲げて結び目を作ると、結び目の中でラインの一部分に力が集中し、ラインが変形して、ラインの強さよりも小さな数値で切れてしまいます(結束強力)。

    この直線強力と結束強力の割合(%)を結束強度と言い、結び目で強度が落ちないノットに<100%ノット>の称号が与えられています・・・ナイロン・ラインでは、ビミニ・ツイストと三つ編みが世界的に有名です。

    PEラインはナイロン・ラインと異なり、伸びの無い単糸を撚った構造のため、急角度に曲げた状態で引っ張ると、撚糸全体に均等に力を分散できなくなり、一部の単糸に力が集中して切れ始め、何と、直線強力の半分以下で切れてしまいます。

    従い、ノット内で、PEラインが急角度に曲がる箇所の少ないノットが、切れにくいノットと言えるのですが、後述のように<滑りやすい>性質を併せ持つため、<100%ノット>の実現は、ナイロン・ライン以上に難しくなっているのです。

    ただし、PEラインは、同じ太さのナイロン・ラインの2~3倍の直線強力を持っているため、結束強度が50%に落ちても、太目のPEラインを使えば何とかなってしまうため、魚影が濃く、細いPEラインを使う必要が無い地域・国では、PEラインのノット強度に無頓着なのです。

  • スッポ抜け:

    PEラインは表面が滑りやすいため、全てのノットで巻付け・編込み回数は、ナイロン・ラインの感覚より多めにする必要があります。

    リーダーに結び目を作るノットでは、ラインのスッポ抜けは起こりませんが、ラインが結び目で急角度に曲げて引っ張られるため、この部分で切れやすくなります。

    一方、摩擦系ノットは、リーダーに結び目が無いため、ラインが結び目で切れる事は無くなりますが、スッポ抜け(※)が起こりやすくなります。

    ※スッポ抜けが起こるのは、大物とファイトをしている時だけではありません。
    キャスティングをしたら、ルアーの付いたリーダーがスッポ抜けて、大切なルアーが飛んでいってしまった苦い経験がありませんか?

    キャスティング時に、ノットがガイドにからむと、リーダーは投げたルアーに引っ張られますので、ノットにはからみ部で反対側から押される力が掛かってしまいます。
    この時、ノットの巻付け・編込みにスキマが残っていると、ノットが押されてスキマが詰まり、ノット全体が一気にゆるんで、リーダーがスッポ抜けてしまうのです。

    鮎の友釣り用 <移動式ハナカン> は、<引いたら動かないが、押したら簡単に動く> 編込み式ノットの特性を利用したものですが、FGノットは<移動式ハナカン>と同じ編込み構造で、増し締めも効きにくいので、スッポ抜けが起こりやすくなります。

    従い、摩擦系ノットの弱点<スッポ抜け>が心配な時は、<親指の爪と人差指の腹>で、リーダー側からノットを強く押して、ノットがズレたり動いたりしないか、確認することをお勧めします・・・少しでも動く時は、スッポ抜ける可能性が高いので、作り直しをお勧めします。

    従い、摩擦系ノットでは、スキマが残らないように巻付け・編込みを行い、ラインがアメ色に変わるまでしっかり締め込み、引いても押しても動かないように仕上げる必要がありますが、今度はしっかり締込むことが原因で、ラインをリーダーと直角に近い角度で交差させてしまい、結束強度を落としてしまうのです。

    リーダーに結び目が無い摩擦系ノットでも、結束強度が100%にならないのは、これが理由なのです。

    今回は、結束強度のテストですので、増し締めを加えて、スッポ抜けが起こらないノットを作り、リーダーはPEラインより1ランク上のものを使用しました。

    引張試験に使用したのは、上記写真の工業試験場の大型引張試験機 及び、バネ計りを改造した測定器です。

    尚、各種ノットの作り方につきましては、大手釣具メーカー、ラインメーカーのホームページ等で詳細に説明されていますので、ここでは省略をさせていただきます。

  • PRノット(リーダーの結び目が無い摩擦系ノット)・・・巻付け回数30~60回

    今回のテストでは、唯一、限りなく100%に近い結束強度を発揮しました。

    ノットに変化が無いまま、PEラインの直線強力に近い数値で、ノットから離れた位置でPEラインの切断が頻発し、結束強度が100%に近いことが確認されました。

    ただし、結束強度が100%に近くなったのは、巻付け回数が60回以上のロングノットで巻付け回数が30回の標準ノットでは、結束強度は80%前後に下がることも確認しました。

    ロングノットの結束強度が100%に近いのは、外側の密巻部が長くなるほど、密巻部の下で、リーダーに密着して横たわるPEライン本線が直線状となり(実際は、大きな半径でラセン状に巻付いています)、急角度に曲がる部分が無いためなのです。

    一方、巻付け回数を30回に減らすと、密巻の開始付近で、密巻部の下側のPEライン本線がリーダーと直角に近い角度で交差をするため、この交差部に力が集中して、80%強の力で切れてしまうものです。

  • MIDノット (リーダーの結び目が無い摩擦系ノット)・・・ 15回×2の巻付け

    15回巻付け・15回巻戻しのMIDノットに、PEラインが飴色に変わるまで、増し締めをしました。

    結束強度は80%前後となり、巻付け回数が30回のPRノットとほぼ同じでした。
    ノット内のPEラインとリーダーが直角に近い角度で交差するため、この交差部に力が集中して切れてしまいます。
    従い、巻付け回数を増やしても、スッポ抜けが減るだけで、結束強度は変わりません。

    尚、MIDノットは、本線と支線をそれぞれ15回巻付けた後、増し締めをすると、本線と支線が交互に並んで結束するため、ノットの長さは本線15回と支線15回のライン幅の合計となり、30回密巻のPRノットと同じ長さになります。

  • FGノット (リーダーの結び目が無い摩擦系ノット)・・・ 15回の編込み

    PEラインの本線・支線を、それぞれ15回編込み、スッポ抜けが起こらないように、PEラインが飴色に変わるまで増し締めをしたFGノットを使用しました。

    結束強度は80%前後となり、巻付け回数が30回のMIDノットとほぼ同じでした。
    ノット内のPEラインとリーダーが直角に近い角度で交差するため、この交差部に力が集中して切れてしまいます。
    従い、編込み回数を増やしても、スッポ抜けが減るだけで、結束強度は変わりません。

    尚、FGノットは、本線・支線をそれぞれ15回編込んだ時、本線15回と支線15回のライン幅の合計となるため、30回密巻のPRノットと同じ長さになります。

  • LTノット(リーダーに結び目があるノット)・・・ネイルノット5回巻×グルグル結び10回巻)

    スッポ抜けのない結びとして、世界で信頼される<ネイルノット3~5回巻>と、ノーネームノットで高い結束強度を発揮する<グルグル結び10~15回巻>を組み合わせることで、摩擦系3ノットに次ぐ結束強度70%前後を達成しています。

    ハーフヒッチ仕上げが不要なことから、ハーフヒッチ仕上げが必要な摩擦系3ノットやノーネームノットの半分の長さで仕上がります。

    短いノットは、キャスティングを伴う釣りに最適で、ナイロン(フロロ)リーダーだけでなく、投釣りのPEテーパーカ糸や、PEミッドリーダーなど、PEライン同志の結束にも有効です。

    <LTノッター>を使うと、<電車結び>並みの手軽さで結束できるので、釣り場での結束に便利です。

  • ビミニ・ツイスト (ダブルライン作成用) ・・・ 30回ツイスト

    ナイロンのライン・システムでは、結束強度100%を誇る最強ノットとして世界的に有名ですが、表面が滑りやすいPEラインでは、ビミニ・ツイスト中のPEライン同志の摩擦力だけでは止めきれず、ツイスト基点の結び目との合算で止めていますので、最後は結び目で切れてしまいます。

    それでも、結束強度は70%前後を記録し、PRノット、MIDノット、FGノットに次ぐ数値を出すのは、さすがビミニ・ツイストと言わざるをえません。

  • SFノット (リーダーに結び目が有るノット) ・・・15回の編込み

    本線・支線に、それぞれ15回の編込みをしたSFノットを使用ました。
    結束強度は70%前後と、ビミニ・ツイストに近い数値を出しました。

    リーダーの結び目が大きくなるものの、増し締めが不要、スッポ抜けが無いことを考えると、有効なノットだと思います。

  • ノーネーム・ノット/8の字ぐるぐる結び (リーダーに結び目が有るノット)・・・10回×2の巻付け

    10回巻付け・10回巻戻しのノーネーム・ノットの結束強度は70%前後でした。

    リーダーの結び目が大きくなるものの、増し締めが不要、スッポ抜けが無く、SFノットの編込みより巻付けの方が簡単ですので、有効なノットだと思います。

    米国でも、後半のハーフヒッチ仕上げを省略した類似ノットが、ト二―ぺナ・ノットやボブサンズ・ノットなどの名前で使われています。

    尚、10回巻付け・10回巻戻し時に、PEラインを2つ折りにしてダブルにすると、結束強度は5%ほどアップします・・・米国では、後半のハーフヒッチ仕上げを省力した類似ノットが、スリムビューティ・ノットの名前で使われています。

  • 改良型オルブライト・ノット (リーダーに一種の結び目が有るノット) ・・・ 5回×2の巻付け

    ナイロン用のオルブライト・ノットは、ビミニ・ツイストのベスト・パートナーとして<100%ノット>に貢献しています。

    滑りやすいPEラインでは、5回巻付け、5回巻戻しのオルブライト・ノットが使われますが、PEラインとU字型に曲げたリーダーの交差部が急角度になるため、結束強度は60%前後です。

    ただ、短時間に作れて、U字型に曲げたリーダー部は、リーダーを結んだ時にできる結び目よりも細くスマートですので、ノットの強度が気にならない細糸の小物釣りではとても便利です。

  • ユニ・ノット/電車結び (リーダーに結び目が有るノット) ・・・ シングル 5回結び

    ナイロンは勿論、全ての糸に使える結びの基本ユニ・ノットを、PEラインの単線(シングル)で5回以上、リーダーで5回以上結んだ、一番シンプルなノットです。

    PEラインの巻付け部が急角度になってしまうため、結束強度は50%前後です。

    大物とのファイトの心配が無い白鱚の投釣りなどで、根掛かり時に、力糸がノットで確実に切れてほしい場合を除き、結束強度が大切なPEライン用ノットとしては不安なノットです。

  • ユニ・ノット/電車結び (リーダーに結び目が有るノット) ・・・ ダブルライン 5回結び

    上記PEライン単線の代わりに、PEラインを2つ折りにしたダブルでユニ・ノットを結びます。

    PEライン部の結び目が多少大きくなりますが、PEライン巻付け部の角度が、ダブルにした分だけ大きくなるので、結束強度は10%近く上昇し、60%前後になります。

    従い、どうしても電車結びを使いたい時は、PEラインをダブルにして使う事をおすすめします。


注記:

  • 今回の強度テストは、弊社の選択したPEラインとリーダーを、弊社の選択した試験機を使い、弊社の設定した試験条件の下で行ったもので、PEラインの種類、試験機の種類、試験条件が変わる事により、多少なりとも違った数値になることが考えられます。
  • 従い、上記の強度テスト結果は、一つの参考とお考えをいただけますようお願い申し上げます。
  • 上記の強度テスト結果による、いかなるトラブルに対しても、弊社では一切の責任を負いませんので、予めご了解をお願い申し上げます。

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